⑪「吸収する精神(無意識)」の時期に必要な環境〈4〉

「感覚の敏感期」に対応する人的環境

水遊びや泥だんご作りなどの五感を使った体験をたくさんさせてあげる。

「感覚の敏感期」に対応する物的環境

★0歳★

ムナリモビール

☆目的☆
視覚の発達を促す
白と黒のコントラストでできているモビールです。

ゴッビモビール」(「ムナリモビール」を終えた子どもが対象)

☆目的☆
視覚の発達を促す
球体の色がグラデーションになっているモビールです。

握る物

☆目的☆
触覚の発達を促す

「握る物」は以下の点を意識して選びましょう。

・子どもが握りやすいサイズである

・危険性がない

・自然素材の物。なめると毒素が出てくる危険性のある化学的な素材ではない物

・握った時に温度差を感じることができるように、「木製と布製」などのように、異なった素材の物を用意する

・球体など、立体感覚を刺激する要素を盛り込んでいる物

・握ったり、握った物を振ったりすると音が出て、聴覚も刺激できる物

※刺激が多すぎると注意が分散され、集中しづらくなるため、握る物は一度にたくさん与えすぎないようにします。

★1歳★

1歳半頃から少しずつ「知性」が働き始めます。知性が働き始めた子どもは、以下のように「比較する」ようになります。

・同じ絵柄のコップをペアにする

・石を拾って大きさの順に並べる

・物を色ごとに分ける

そのため、この時期からは、感覚を発達させるだけではなく、ペアにしたり分類したりといった「比較」をして知性の発達も促す活動を行っていきます。

具体物同士のペアリング

☆目的☆
視覚の発達を促す

実物やレプリカ、ミニチュアといったなるべく具体的な物を2個ずつ用意し(果物なら果物だけ、野菜なら野菜だけというように、全て同じ種類になるようにする)、ペアにしていきます。

キューブやシンメトリーのペアリング

☆目的☆
視覚の発達を促す

6面がそれぞれ異なる絵柄になっている立方体を、同じ絵柄が出るようにペアにしたり、2個の立方体の各面が左右対称になるように描かれているものを、一つの絵柄が完成するようにペアにしたりしていきます。

色の分類

☆目的☆
視覚の発達を促す

赤、青、黄の3原色の容器と、3原色のいずれかの色の物を各色3~5個ずつ入れたかごを用意し(3原色は子どもが認識、区別しやすい)、色ごとに分類していきます。

絵カードや写真のペアリング、分類

☆目的☆
視覚の発達を促す

同じ絵カードや写真を2枚ずつ用意してペアにしたり、3枚以上用意して分類したりしていきます。

感触の異なる様々な道具

☆目的☆
触覚の発達を促す

ブラシや台布巾など、日常生活で使う道具を用意し、子どもが触り心地の違いに気づくようにしていきます。

つるつるとざらざらの物を分類する

☆目的☆
触覚の発達を促す

子どもの日常生活の中にある、つるつるの物とざらざらの物を同じ数ずつ用意し、かごに分類して入れていきます。

『ひみつ袋』の前段階の活動

☆目的☆
触覚の発達を促す

☆手順☆
①感触の違いがはっきりとした自然の物を用意し、蓋つきの透明な容器に入れ、見えるようにする。

②容器の中の物をいくつか、よく触ってから袋に入れ、見えないようにする。

③袋に手を入れ、どの容器に入っている物か当てる。

中身の見える聴覚容器

☆目的☆
聴覚の発達を促す

☆手順☆
①米や豆、小石、砂などを、蓋つきの透明な容器に入れ、見えるようにする。

②中身を見ながら容器を振って音を出し、その違いを感じる。

量によって音が異なることを感じる

☆目的☆
聴覚の発達を促す

☆手順☆
①蓋つきの透明な容器と、容器に入れる物(ボタンなど)を用意する。

②容器に物をいくつか入れて振り、音を聴く。

③入れる量を変えて、容器を振って音を聴く。

容器の大きさによって音が異なることを感じる

☆目的☆
聴覚の発達を促す

☆手順☆
①大きさが異なる容器(蓋つきで中が見えないもの)と、容器に入れる物(ボタンなど)を用意する。

②容器に物を入れて振り、音を聴く。

③大きさの異なる容器に変えて、②と同じ量を入れ、振って音を聴く。

同じ形の物でも材質が違うと音が異なることを感じる

☆目的☆
聴覚の発達を促す

☆手順☆
①蓋つきで中が見えない容器と、容器に入れる物(同じ形でそれぞれ材質が異なる物を複数個)を用意する。

②容器に物を入れて振り、音を聴く。

③同じ形だが材質が異なる物を容器に入れて、振って音を聴く。

残り香(が)のかぎわけ

☆目的☆
嗅覚の発達を促す

ケチャップやにんにく、しょうが、しょうゆなどの食材の残り香のある蓋つきの空容器を用意し、一つずつ開けて香りの違いを感じていきます。

中身の見える嗅覚容器

☆目的☆
嗅覚の発達を促す

☆手順☆
①子どもが知っていて香りのする物を、蓋つきの透明な容器に入れ、見えるようにする。

②容器の中身を見ながら香りを嗅ぐ。

同じ香りの物をペアにする

☆目的☆
嗅覚の発達を促す

☆手順☆
①「コーヒー豆と、挽いたコーヒー」、「シナモンスティックと、挽いたシナモン」のように、原材料とそれを加工したものを、蓋つきの透明な容器にそれぞれ入れ、見えるようにする。

②同じ香りの物、つまり、原材料とそれを加工したものをペアにしていく。

※これらの活動は、あくまで具体例であり、必ずこうしなければならないというものではありません。子どもを観察し、今どんなことに興味があるのかということを理解し、それができる活動を用意してあげましょう。

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