③何度も繰り返す―子どもは「集中現象」によって「正常化」される

子どもは、「自分から進んで繰り返すこと(自発的活動)」によって、様々なことができるようになっていきます。しかし、ただ何かができるようになるだけではなく、それによって「全人格的成長」を遂げるのです。

「自分から進んで繰り返すこと(自発的活動)」をしている時の子どもは、その活動に夢中になっています。子どもが、興味のある対象に自分から関わり、できるようになるまで没頭する現象を、「集中現象」と言います。モンテッソーリは、「集中現象こそがすべての鍵」であり、集中現象によって子どもは「正常化」されると述べました。「正常化」とは、自立や発達が、子ども自身の力で(つまり、「自己教育力」によって)成されるともたらされる「子どもの正しい育ちの姿」のことです。

子どもは集中現象を何度も経験していくうちに、以下のような姿を見せるようになります。

・自発性が見られる

・自信と忍耐心が見られる

・手や指先の器用さが出てくる、身体の動き、振る舞い方が良くなる

・観察力や注意力が増してくる

・集中する対象に対する深い知識や高い技能が身についてくる

・作業を好むようになる

・情緒が安定し、落ち着いてくる

・他人への親切と愛情、相互協力と奉仕の心が育つ(やりたいことを自分のペースで満足するまで取り組む経験を重ねることで心が満たされ、他者のことも尊重できるようになるため)

・規律と秩序を重んじ、従順さが養われる(心が満たされていると、身の回りの環境を良くしようと考え、行動できるため)

これらの姿は、身体的発達、知的発達、感情的発達、社会的発達などのあらゆる要素を含んでいます。集中現象によって、子どもは一個の人格としてトータルに発達するということです。つまり、「全人格的成長」を遂げるのです。

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