⑫「お仕事」の手順

モンテッソーリ教育では、⑪「吸収する精神(無意識)」の時期に必要な環境〈2〉⑪「吸収する精神(無意識)」の時期に必要な環境〈8〉で紹介してきたような活動のことを、「お仕事」と言います。

「お仕事」は、以下の手順で行います。

①子どもに誘いかける

「吸収する精神(無意識)」の時期(0歳~3歳)は、様々な経験をし、何かができるようになることに喜びを感じることがとても重要です。また、意志が未発達で、「自分で決める」ということが難しい時期でもあります。そのため、「さあ、今からお母さんと一緒にお仕事するよ」といった言い方で誘いかけ、子どもには原則お仕事をしてもらうようにします。ですが、無理強いはしません

何にでも「イヤ!」と言う「イヤイヤ期」の子どもには、「~のお仕事と~のお仕事、どっちがやりたい?」といった誘い方をして、自分で決めてもらうようにすると良いでしょう。

「意識の芽生え」の時期(3歳~6歳)の子どもには、「~ちゃん、お母さんと一緒にお仕事してみない?」といった言い方で誘いかけ、子どもにお仕事をする意志があるかどうかを尋ねます。

②子どもにお仕事の名前を伝える

お仕事に使う教材がある場所で、「~ちゃん、これが~というお仕事です」と、お仕事の名前を子どもにはっきりと伝えます。そして、「いつもここに置いてあるからね」と、お仕事が終わったらどこに戻せばいいのかの視点を与えるようにします。

③子どもにお仕事をする場所を伝える

「~のお仕事は、~(机やじゅうたんなど)でするよ」と、お仕事をする場所をはっきりと伝えます。今後子どもがこのお仕事をやりたくなった時にどこでやればいいのかを知らせます。

④教材の持ち方、運び方を示し、お仕事をする場所まで運ぶ

「~はこうやって持って運ぼうね」と、持ち方、運び方を示します。今後子どもがこのお仕事をやりたくなった時にどうやって持ち運んだらいいのかを知らせます。

⑤子どもの利き手の側でお仕事をやって見せる

右利きの子どもの場合は子どもの右側で、左利きの子どもの場合は子どもの左側で、お仕事をやって見せるようにします。そうすることで、子どもが大人の動きを見やすくなります。

⑥動作を一つ一つ分けて、間を取りながらやって見せる

大人は、何かを行う時、無意識に一つ一つの動きを一連のものとして連続的に行っています。しかし、子どもはゆっくりとやって見せなければ理解できません。そのため、動作を一つ一つ分けて、子どもに理解できる間を取りながら伝えることが大切です。

⑦子どもの興味の中心がどこにあるかを意識しながらやって見せる

興味の中心とは、子どもがお仕事の中で特に面白いと感じ、お仕事をやってみたいと思うきっかけとなるポイントのことです。時々子どもの目を見るようにし、食い入るように見ているところがあれば、それが興味の中心です。そこを特にゆっくり見せたり、効果的な一言を添えたりして、この後子どもが「やってみよう」と思うモチベーションになるようにします。

⑧ことばは必要最小限にする

子どもは、ことばで説明しても、それを完全に抽象的に理解することができません。そのため、ことば掛けは必要最小限にとどめ、やって見せることに注力します。ことば掛けをする時は、動きは止めて、ことばと動きを同時に与えないようにします。

⑨やって見せた後に子どもに誘いかける

子どもにお仕事をやって見せたら、「吸収する精神(無意識)」の時期(0歳~3歳)の子どもには、「今度は~ちゃんの番だよ」といった言い方をして、活動をしてもらうようにします。ですが、無理強いはしません

「意識の芽生え」の時期(3歳~6歳)の子どもには、「~ちゃんもやってみる?」と誘いかけ、子どもにお仕事をする意志があるかどうかを尋ねます。

もし、子どもにお仕事をする意志がなければ、「やりたくなったらいつでもやっていいからね」と言って、子どもと一緒に教材を元の場所に戻します。

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