⑧子どもが自己教育力を発揮できる環境とは?―「敏感期」に見合った環境

「子どもが自分の力(自己教育力)で自立、発達できるように援助する」ためには、「子どもはいつ何ができるようになるのか」という知識が不可欠です。そのためには「敏感期」について知る必要があります。

「敏感期」とは、0歳~6歳頃の子どもに存在し、ある特定の事柄に対して強い感受性が現れ、敏感になり、それを人生の中で最も簡単に身につけることができる時期のことです。

子どもの心身諸機能の発達には、すべてに一定の時期があります。その時期が来た時、子どもは発達に必要な刺激を自ら強烈に求めます。その時発達させなければならない事柄に対して強い興味を持ち、自分から関わって発達を遂げようとするのです。そして、それをいとも簡単にやり遂げます。

敏感期には、「言語の敏感期、秩序の敏感期、感覚の敏感期、運動の敏感期、数の敏感期、文化の敏感期」の6つがあり、それぞれ以下の時期に出現します。

・言語の敏感期(話しことばの敏感期: 7か月の胎児期~3歳前後、文字の敏感期: 3歳半~5歳半)

話しことばや文字に興味を持ち、それらを獲得しやすい時期

・秩序の敏感期(6か月~3歳前後)

場所や順番に対して強いこだわりを持ち、秩序がある環境(外的秩序)にいようとする。それによって、自分の内面に秩序(内的秩序)を形成する時期

・感覚の敏感期(0歳~6歳)

五感の刺激が楽しく、感覚が洗練しやすい時期

・運動の敏感期(0歳~6歳)

自立に必要な動き(動作)に興味を持ち、それを獲得しやすい時期

・数の敏感期(4歳~5歳)

数字や量を数えることに興味を持ち、それらを吸収しやすい時期

・文化の敏感期(6歳~9歳)

動物のことや宇宙のこと、世界の国々のことなど、ことばや数以外のことに対しての興味が現れ、それらを吸収しやすい時期

「敏感期」は、特定の時期だけに現れ、その時期を過ぎてしまうとその後二度と現れないものです。敏感期ではスポンジで吸収するかのようにその対象をいとも簡単に獲得することができますが、その時期を過ぎてしまえばそうはいきません。努力しなければ能力を獲得することはできず、時間もかかってしまうのです。このことからも、敏感期はとても大切な時期であると言えます。

私たち大人は、子どもをよく観察し、この敏感期を感じ取り、それに見合った環境を作ることが大切です。

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