今まで述べてきたように、モンテッソーリ教育では、「子どもが育つのは環境との交流によってであり、決して大人によって育つのではない」という考えから、「環境」を重視しています。
そのため、モンテッソーリ教育は、「子ども」と「環境」と「大人」という三者から成り立っていて、
①大人が、子どもが自己教育力を発揮できる環境(人的環境と物的環境)を整える(環境構成)
↓
②大人が、その環境との交わり方を、子どもにやって見せる (提示)
↓
③子どもは、その環境との交わり方を知り、自己教育力を発揮して自発的に環境に関わり、成長していく(自発的活動)
という流れで行われます。
この流れを図にすると、下図のような三角形になります。
これを、「モンテッソーリの三角形」と言います。
もし、上図に「環境」がなかったらどうなるでしょうか?
それを図に表すと下図のようになります。
この場合、
①大人が子どもを管理する、②大人が子どもを放任する
のいずれかになりがちです。
①の、「大人が子どもを管理する」とは、大人が子どもに指示をする、命令するといった、管理が強い関わりのことです。これでは大人に管理された子どもの姿、いつも受け身で、技術や知識を教え込まれ、覚えさせられる子どもの姿しか出てきません。日本の一般的な教育は、これに当てはまるでしょう。
②の、「大人が子どもを放任する」とは、大人と子どもの二者が、存在はするけれども全く関わりがない、大人が「子どもには自分で育っていく力があるのであれば、放っておこう」と考えて子どもと関わらないということです。確かに子どもには自己教育力がありますが、それが発揮できる環境(子どもの発達段階に見合った環境)がなければその力は発揮されません。
①、②のいずれであっても、子どもの健全な育ちの姿はなかなか現れないでしょう。
これらのことから、「環境」はとても重要であるということがわかります。そのため、モンテッソーリ教育では「環境」を重視しているのです。